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福岡県の中心にある標高900m程の山脈、嘉穂アルプスへと行ってきました。
嘉穂アルプスと命名されたのも最近のこと、「馬が胡椒くって屁こいた、えがったえがった」と覚えやすいネーミングがある最近注目度が増している福岡県の山です。
嘉穂アルプスは、馬見山、江川岳、屛山、古処山と四つのピークが連なる連山で、アクセスは朝倉秋月方面、小石原方面、嘉麻市方面からと登山口も数多くあり、半日でピストンできる日帰りコースから、1日かけて歩ける縦走路コースまで幅広い層の登山客を虜にしている今ホットな山です。
分県ガイド福岡県の山、山と高原地図福岡の山々に収録されています。
馬見山山頂には避難小屋が新設されたためテント泊や小屋泊をするために訪れる方も少なくはありません。
嘉穂アルプスではツゲの原生林、ブナ林、アブラチャン、キツネノカミソリ、シャクナゲと植生もよく変化し、古処山の一部の登山道では岩場の名所となっている登山道もあり、登りごたえのある山となっています。
今回は、最近登山に目覚めたキッズ達との登山会を開催。
今回の登山計画は嘉麻市側からの登山口、遊人の杜キャンプ場をスタートし、奥の院コースから尾根道に出て屛山、江川岳を通り馬見山山頂を目指す一泊二日のテント泊計画です。
まずは、子ども達を連れて行く前にコースに異常がないか下見を行いました。
雨の「奥の院コース」、岩に苔がむしていて、もののけ姫の世界かのような景色が広がっています。
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奥の院コースではルート起点から終盤の岩場まで急登が続き、奥の院コースの醍醐味でもある岩場はコース7合目付近から始まります。
手足をつかって急な岩場を登って行くと奥の院という大きな岩の割れ目に出くわします。
奥の院の中は行き止まりになっていますが、是非立ち寄ってみてほしい場所です。
奥の院は誰もが「おぉーー!すごーい!」と声を上げてしまうほど自然のスケールを感じる見どころです。
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大将隠しという場所まで岩場を抜けると、すぐそこは嘉穂アルプスの尾根道分岐。辺りはツゲ林になっていて、続くツゲ林のトンネルへは古処山山頂まで通じています。
また、柘植に絡みつく地衣類の「オールドマンズベアード」名の通りおじいさんの髭かのような地衣類が垂れ下がっていて福岡県ではなかなか珍しい植生を見ることができます。
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奥の院コースの岩場をクリアすれば、尾根道の分岐にあたります。左へは屛山、江川岳、馬見山方面。右に行くと古処山です。
今回は古処山まで行かず、分岐を左へ、屛山を目指します。
嘉穂アルプスの尾根道はアップダウンが多く、登ってはくだり、登っては降りと繰り返すため、遠征前のトレーニング等体力練成にも打ってつけです。
今回の天候は雨…辺りは真っ白のガスガスで、精神的なトレーニングも兼ねることができました。
ガスが濃くて薄暗い林の中を歩き続けると、屛山山頂へ到着!
視界ゼロで全く何も見えません!
小休止して江川岳を目指します。屛山山頂からは急な下り坂、と思えばまた登りといった尾根道を歩きます。江川岳直下では急な階段が。
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江川岳はトラバースルートもあるため、江川岳を横ぎることができますが、トラバースルート分岐から山頂までは急登になっているので、トレーニングならピークハントしておきたいところです。
江川岳の山頂で江川岳登頂証明書が貰えるというQRコード(朝倉市観光振興係)があるため、応募すれば思い出が形にもなりそうです!
江川岳から降り続けると宇土浦越という分岐(峠)に差しかかります。
宇土浦越は江川ダム、馬見山、江川岳、馬見キャンプ場からの4つの登山道が合流している分岐になっています。
江川岳の標高以上ある馬見山への登り返し地点。
山頂まで急登が続きますが、所々休憩ポイントにベンチがあるので腰掛けて息を整えることができます。
宇土浦越から数十分登っていると茅城跡という史跡がでてきます。こちらにもベンチがあり、嘉麻市側の景色も展望できます。秋月城からの信号を長谷城、一夜城へと中継していた場所でしょうか?
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城の跡地ともあって、平に整地されていて堀の後もあったりと歴史を感じれる一帯でした。
城跡から数十分歩くと北九州飯塚方面が見渡せる展望台が現れます。ここまで来れば馬見山山頂まで数秒です。
山頂はパッとしない樹木の中…避難小屋まで歩けば甘木久留米方面が見渡せる展望台があります。
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避難小屋は山頂から数十秒歩いた薄暗い林の中にあるため、ガスっている場合は避難小屋に気づかず下山してしまうこともありそうです。
実際ガスの中で小屋を見つけることができず、山頂付近を少し探索して発見しました。
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小屋の中は土足OKとのこと、椅子とテーブルが配置されていて非常用食料や救急セットなどの非常用品が常備されていました。
部屋の三分の一は土禁になっていて、そこでビバークできるようです。
さて、今回の下見登山は雨模様、あたりはガスガスで何もみえませんでしたが、キッズ達との登山ではこの場所で絶景を拝むことができるでしょうか?
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キッズ達との山登りの日がやってきました。
天気は…残念ながら雷雨、大荒れです。
馬見山山頂でテント泊の予定でしたが、翌日の日帰り登山へと変更します。
馬見山キャンプ場から登る日帰りルートへ変更です。1日目が空いてしまったので、地図読み方講習会を行いました。
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この機会にキッズ達には登山地図にも見慣れて欲しいので地図読みの実践を兼ねて登山することに。
25,000分の1地形図を渡しました。
見慣れない等高線だらけの山地図を眺めながらいざ入山!
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宇土浦越まで続くなだらかな登山道をゆっくりと地図を確認しながら歩きます。
初めて山地図を見ながらの登山でしたが子ども達も覚えが早く、位置確認も大体合っています。
渡渉ポイントも数箇所あり、初めて出くわす渡渉ポイントでは渡るという経験が少ないためルートを見失うといったこともありましたが、こういったシチュエーションにも慣れてきた様子でルートファインディングも上達していきます。
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重い荷物もあってか、少し遅れて宇土浦越に到着!
大人達は腹を空かせて昼飯を催促しますが、子ども達はトレーニングのために江川岳を目指します。
地図と睨めっこして、宇土浦越に戻ってくる時間を予測、さぁ予想した時間に帰ってこれるでしょうか?
江川岳まで急な上り坂をえっちらおっちら登り詰め、やっと江川岳山頂へ!
記念にパシャリ!
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標柱にある登山証明書が発行できるQRコード(朝倉市観光振興係)に誰も気づいていません!笑
さぁ今登ってきた道を折り返して降っていきます!
宇土浦越に戻ってきた頃にはお昼の12時を回っていました!
さてまた地図と睨めっこして馬見山山頂までのターゲットタイムを導き出します!
お昼は山頂までお預け!
急な登り坂から突如出てくる史跡、茅城跡では花より団子状態!携行食で小腹を満たして、お城跡は全く興味が無いようです。
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城跡から数十分、グーグーと鳴る空腹を誤魔化しながらやっとのことで登ってきた山頂手前の見晴らし台に到着!花より団子だった子ども達もさすがにこの絶景と達成感には敵いません。
疲れを吹き飛ばすかのように声を上げて喜びました!
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記念にパシャリ、山頂についてまたパシャリ。
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小屋を発見しては「飯だー!」と着いたと同時にお湯を沸かします!
お湯を沸かして、ラーメンが出来上がるまでの間に、もう一つの見晴らし台へ。
有明海から熊本、大分方面の山脈が見渡せていて、迫力ある夏の雲はまさに絶景です。
下見の時にガスガスで何も見えなかったことを思い出すと、感動が2倍に!
子供たちも大喜び!
避難小屋内で作ったお昼ご飯を見晴らし台に持って行って景色を眺めながら食べました。
「うまみ」という名前の避難小屋で作ったお昼ご飯、絶景を前にして食べるご飯には海原雄山も唸ることでしょう!
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1時間ほど山頂を堪能したあとはいよいよ下山。
避難小屋の近くに水場があるそうなので、その確認も兼ねて御神所岩を通る谷間のルートで下山します。
山頂から約10分、大きな岩が現れます。
岩の手前でロープを伝って降りるようになっていましたが、真っ直ぐ岩を突き進む小道が気になったので進んでみることに…
と、小道が急に途切れて…
断崖絶壁!!!!!
反りたった岩の上だったため足がすくむほどの高度感、覗き込んだ拍子に落ちてしまうような場所でした。今思い出すだけでもゾッとするほど。
御神所岩に到着しました。
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さて御神所岩の脇から降りてきて真下から見上げてみるとその壮大さが伝わってきます。
あの場所に立っていたのかと下から見上げたその位置は崩れ落ちてもおかしくないような足場でした。
御神所岩では目的の水場を探します。岩場から横に外れた場所にあった水場を確認しました。
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水量も十分、もし山頂でテント泊そする際はこの水場を利用することになるでしょう。
肝心のお味は…とてもまろやかな”旨味”を感じる天然水でした。(馬見山なだけに…)
ダジャレと水分補給も十分に、休憩を終えて下山を再開します。
谷間の特徴的なゴツゴツした岩だらけの沢沿いルートは降りにはシンドイ。このルートは上りで利用した方がよさそうです。
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「風穴」という場所まで険い谷間を抜けると並木林に入り歩きやすくなります。夕刻4時で日没まであと3時間…
歩きやすくなったと同時に早足でラストスパート!渡渉を何度か繰り返し大きな記念碑に到着、遂にゴールです。
合計8時間のロングトレイルとなりました。
キッズ達はゴールの沢水でクールダウンしながら達成感を味わっていました。こんな重い荷物を背負ってきたというのにピンピンしています。日帰りとはいえ重い荷物を背負って長時間歩けたので、今後行く屋久島やアルプスでのトレッキングも大丈夫そうですね!
今回の登山では「渡渉」「九十九折り」「トラバース」「シャリバテ」「地図読み」といった登山用語や技術を学ぶ山行となりましたが、果たして成果はあったでしょうか?
今後の登山に活かしてもらえるといいですし、屋久島登山を控えているキッズ達!頑張ってください!
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